心に響く言葉
詩の出処
Link
岡本弥太 詩集「瀧」より
by Ryuta
山 はるを短く こどもたちの花の袖のうちらにみて 花のとなりに住む人たちである そんな人たちは 山の暗がりのなかにお互のこどものつむりを撫で 乏しい夕餉の皿をわけてゐた 私は そんな人だちのなかに暗くならないで かへつて日中の滝のようにほどばしつて 汚いものを医してくれるものを知つてゐた 私たちはたいてい会つても あいさつを交さず その人が長らく住みなれた山をこへてしまつてから 俄に 日の光のやうに惜くあついものがこみあげてくるのを感じた